カザルス弦楽四重奏団

カルテット・プレミアム・シリーズ

20世紀の偉大な音楽家の名を冠したカザルス弦楽四重奏団
結成25周年記念プログラムを携えて水戸芸術館に登場

　パブロ・カザルス。言わずと知れた20世紀最高のチェロ奏者であり、音楽家の一人である。スペインのカタロニア地方出身のカザルスは、内乱の絶えない故郷を案じ、音楽を通じて世界平和に貢献する活動も行なった。

　そんな"レジェンド"をその名に冠し、21世紀の音楽界を牽引しているのが、2022-23シーズンに結成25周年を迎えたカザルス弦楽四重奏団である。スペインのグループ故、どうしても情熱的な演奏や濃厚な美音を期待してしまうが、彼らはその想像を遥かに超える熱い血潮のような激しさと、艶やかな黄金の音色で私たちを瞬時に魅了してしまう。しかし、彼らの礎にあるのはまぎれもなくパブロ・カザルスの偉大な精神であり、音楽の普遍性の追求や平和への切なる願いも、その演奏の背後から力強く響いてくる。

　プログラムは、バッハの〈フーガの技法〉（抜粋）に始まる。カザルス弦楽四重奏団は、対位法の極致とも言えるこの作品を結成25周年のテーマに選んだ。ハイドンが"通"のために、自らの高度な作曲技術を見せつけるかのように書いた作品20の６を間にはさみ、最後はベートーヴェンの〈ラズモフスキー第3番〉。雄渾という形容がいかにも似つかわしいベートーヴェン中期の傑作で、カザルス弦楽四重奏団はこの聴き応えのある重厚なプログラムを締めくくる。