竹村 京 うごくせかい

2026年7月25日 ~ 2026年10月12日 水戸芸術館 現代美術ギャラリー

壊れてしまったものや失われた場所の記憶をテーマに、出来事を「仮の」状態に留める方法として刺繍を用いた作品を発表する竹村京(たけむら・けい/1975年東京都生まれ、群馬県在住)による個展を開催します。写真やドローイングに薄い布を重ね、記憶の穴を埋めるように刺繍を施した平面作品や、壊れてしまった日用品を布で包み欠損部分に沿って「修復」する作品群、運針のなかに時間の流れや世界との交感を表した「time counter(タイム・カウンター)」、そして個人的な語りから出来事を追体験するパフォーマンス作品など、竹村は縫う行為を軸に、失われたものやそれに付随する時間とイメージ、あるいは欠落を補完するための記憶を縫い留める作品を制作してきました。
竹村は、東京藝術大学在学中に7世紀に作られた刺繍作品を目の当たりにし、天災や戦災、人災などを経てなお残る絹糸の強靭さや美しさに関心を持ったと言います。ドイツを活動拠点とした2000~2010年代には、現代美術のグローバル化、情報化が加速するなか、敢えて身近な人物や出来事に焦点を置き、日本近代史の産物と言える国産絹糸を用いた刺繍による作品を発表。帰国後は、蚕糸産業の中心地の一つである群馬県に拠点をもち、モチーフにちなんだ染めを応用する試みや、遺伝子組み換え技術の副産物であるバイオ生糸を用いるなど、「千年後の人に残るイメージを作りたい」という関心のもと、自らの表現の可能性を広げています。
作家にとって過去最大規模の個展となる本展では、竹村の新旧作を展示し、記憶と喪失、時間や行為における不可逆性、偶然性といった普遍的なテーマへと迫ります。また、竹村が長年関心を寄せる「天災」と「修復」を主題とした新作や、作品理解を深める試みとして、水戸市中心市街地を舞台に「修復」について館と参加者とがともに考える地域連携プログラムにも取り組みます。
天災や人災、時間や人の移り変わりのなかで形づくられてきた今日の世界は、価値や真偽が容易に反転し、物事の捉え方さえ操作されてしまうほど不安定な状況にあります。淘汰や忘却に絡めとられてしまいそうな対象を取り上げ、光を与える竹村の創作を展覧する本展は、つねに揺らぐ世界において、わたしたちが出来事や記憶とどのように向き合うのかを考える機会となるでしょう。

主催者・アーティスト

竹村 京

開催日時 2026年7月25日2026年10月12日
10:00 ~ 18:00
会場 水戸市五軒町1-6-8
関連URL https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5428.html
料金 900円
備考

入場時間は17:30まで
休館日:月曜日(ただし10月12日は開館)

情報更新 2026年5月 1日 (URL)

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